2018-02-06

『羊の木』感情のピクセルが溢れ出す (ネタバレなし感想)

180205

錦戸亮。どうも、こんにちは。McFly ( @HI-ENDBLOG ) です。
本日は2月3日より公開、吉田大八監督最新作「羊の木」鑑賞後レビューです。邦画の良さ。

評価

満足度 ★ 8 (星10段階評価)

あっさり感想

作品テーマと役者選定が抜群!
危機感の煽りが恐怖心に繋がる今期イチオシの邦画サスペンス!
岡崎体育の「感情のピクセル」がリフレイン。

ガッツリ批評

緊張と緩和。
故意に、時に執拗に「鋭い危うさ」をほのめかしつつ、
逆に「穏やかな優しさ」という正反対の性質に接近させることで、観客個々の危機感を生み出す。

「ナイフを取り出すんじゃないか」
「殴りかかるんじゃないか」
「殺そうとしてくるんじゃないか」

溢れ出す疑いは止めどない。
自分の中で思い描く危険性や疑念の気持ちが大きければ大きいほど、ただ単純に人間味のある答えが返って来た時に拍子抜けしてしまう。疑ぐり過ぎた自分の気持ちに俄かに「反省」を示す。

「この人も人間じゃないか」
「壁を作っているのは自分なんだな」
「過去は過去。受け入れる気持ちを持とう」

本当の悪は驚くほど巧妙にそして自然にその隙を緊張と緩和の二面性で突いてくるのである。穏やかな金魚鉢にポタポタと墨汁を垂らしていくような不安な淀みが徐々に全体を包み込む。

小さく平穏なコロニーにふとしたサスペンス要素が邦画に求めたい作家性で溢れる。
吉田大八監督の穏やかに収まらない演出が鈍く光る。
元殺人犯という曰く付きの役柄を演じるにはこの上ない凶悪キャスティング。
彼らを受け入れる窓口を担当する役場勤めの月末(ツキスエ)は恋した相手にさえ想いを伝えられないディフェンス人間。彼を演じる錦戸亮も公務員という表の顔と仕事で押し込めた想いを真逆のベクトルで消化しようとする裏の顔を持ち合わせる「発散しきれない二面性」を巧妙に演じ分ける。

「仮釈放」と「元殺人犯」を軸に2時間、これでもかという程に様々なテーマを提唱する。
ふと投げかけられる疑問に自分ならどう返答するだろうか。
ここで岡崎体育の『感情のピクセル』が脳内再生。
どうぶつさんたちの輪の中にワニさんを仲間に入れてあげられるかどうか。
まさにそれが問われている。

真面目に問いかける一方で、導入の設定部分が学生映画じみていたり、見てはいけない架空の奇祭「のろろ祭り」がニッチな田舎祭りフェチ層の心をくすぐったりと、むむむ、二面性に満ちた作品だった。

こんな人にオススメ

・田舎の噂話伝染速度の速さを身をもって体感されている方
・邦画に1800円払って損したと思いたく無い慎重派の方
・岡崎体育ファン

作品詳細

映画「羊の木」公式ホームページ
Filmarks映画「羊の木」リンク
2018年2月3日公開 / 製作国:日本 / 上映時間:126分 / ジャンル:サスペンス

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