2018-02-07

『DETORIT(デトロイト)』傷心後に癒しのサントラ(ネタバレなし感想)

detroit

どうも、こんにちは。McFly ( @HI-ENDBLOG ) です。
本日は1月26日より公開の問題作キャスリン・ビグロー監督最新作「デトロイト」鑑賞後レビューです。精神的に殺されるかと思った。

評価

満足度 ★ 8 (星10段階評価)

あっさり感想

・息が詰まってこっちが倒れちゃう。
・銃社会における人種差別の不透明な恐怖の実態を仮想体験。
・サントラ盤が間違いなく今年BEST5に残るだろうという極上の名盤!

ガッツリ批評

面白かったかと問われて面白いとは言えない作品でありながら、観る前と観た後では世界観が変わってしまう映画がこの世にはいくつか存在する。この映画はそんな映画の1つ。

国籍が違う。皮膚の色が違う。話す言語が違う。性別が違う。
「差別」の角度は多角に様々存在するが、今作で目の当たりにすることになる極度の白人至上主義者による黒人差別の実態には目を伏せたくなるような息の詰まる非道行為に満ちている。

カテゴライズとして同じ人間である認識すら無く、平然とゴミのように扱い、罵声を浴びせ、暴行し、徹底的な恐怖心を与え、果ては命まで断ち、その出来事を闇に葬る。
身の毛がよだつような白人警官による黒人少年たちへの残虐尋問「死のゲーム」の非道さを1967年「デトロイト暴動事件」を舞台に描き切る。142分の上映時間、こちらの気がおかしくなってしまいそうなくらいの苦痛なシーンがスクリーンに映し出される。

歴史と実体験の証言によって描かれる物語。
残酷に満ち満ちた出来事に深い悲しみと恐怖を覚えたと同時に、こうした社会性のあるテーマに鋭いメスで切り込むという映画に託された歴史的な使命の大きさを実感する。

あらゆる物事を差別せずに平等に扱う事の出来る人はいないだろう。
(例えばもうこの時点で僕は何もかもに平等を掲げる人を差別し始めている)
ただ多かれ少なかれ「差別」という感覚を誰しも持つが故に、過度で極端な容赦のない差別主義者や小さな差別が集積する事で肥大化する差別思想の異常性を認識することが出来る。
ナイフも切れる事を知ることで、その恐ろしさを学び、普通の人間であれば正しく慎重に扱うおうとする。
しかし法が整備されようが、規制が強化されようが、いつも悲劇が繰り返されている。

内集団バイアスにおける外集団への圧力構造は狭義な意味でも広義な意味でも世界中が抱える問題。
本作では冒頭で黒人の歴史に触れることで「侵略」にも近いこの理不尽な差別問題に正面から拳を掲げている。

観た者全てを目撃者としてこの問題に巻き込むかのようなドキュメンタリーチックなカメラワークで全編を構成したキャスリンビグロー監督最新作。社会問題だけでなく、黒人文化が生み出した「音楽」にもスポットを当てる。
あまりにも衝撃な映像が続くので見落とされがちな劇中歌がどれもこれも素晴らしいブラックミュージック。
サントラ盤は全曲ソウルフルでドラマチックな極上の名盤。とにかくこのサントラが贅沢で素晴らしい!!
心の傷をこの1枚で癒しながら時には難しい社会問題にも目を向けてみるのもいいかもしれない。
iTunesで「DETROIT(Original Soundtrack)」が全曲視聴可能

こんな人にオススメ

・黒人差別があまりわかっていないけどこの機会に知ってみたい勉強熱心な方
・社会問題は他人事と思って軽く考えてしまっていることを自覚している方
・ブラックミュージックに影響受けてるんですよねとか言っちゃうトラックメイカー

作品詳細

映画「DETROIT(デトロイト)」公式ホームページ
Filmarks映画「DETROIT(デトロイト)」リンク
2018年1月26日公開 / 製作国:アメリカ / 上映時間:142分 / ジャンル:ドラマ

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