2019-01-17

『マガディーラ-勇者転生-』日本語吹き替え版黄金期の再来か

前世も大した人間じゃなかった気がする!
どうも、こんにちは。McFly ( @HI-ENDBLOG ) です。
「マガディーラ-勇者転生-」を観まして、転生説が存在するものとしてもし世界中の皆々が前世の記憶を残したまま生まれ変わっていたら、それはそれで面白いドラマが生まれるんじゃないかと思いました。まぁ皆が皆同じタイミング、同じ世代で転生するとは限らないので「マガディーラ」のパターンは奇跡に近いと思いますが。

ちなみにネットの前世占いで占ってみたら前世が「ゴミ箱」でした。笑
占うんじゃなかった。

あらすじ

1609年、ウダイガル王国。近衛軍の伝説的戦士バイラヴァは、国王の娘ミトラ姫と愛し合っていたが、王国とミトラ姫を我が物にしようと企む軍司令官ラナデーヴの邪悪な陰謀により、非業の死を遂げる。400年後のハイデラバード、バイラヴァはバイクレーサーのハルシャという若者に生まれ変わっていた。ハルシャはある日、町で偶然にある女性の手に触れた途端、脳裏に前世の記憶が甦るが、その女性を見失ってしまう。やがてハルシャはミトラ姫の生まれ変わりインドゥと運命の再会を遂げるが、かつて二人の仲を裂いたラナデーヴも、インドゥの従兄弟ラグヴィールとして生まれ変わっており、再び悪逆非道な罠を仕掛けてくる。

評価

満足度 ★8 *ただし吹き替え版の場合 (星10段階評価)
:DVD鑑賞(吹き替え版)

あっさり感想

・「ありえない」が面白い。本来のドラマの在り方を感じてしまう。
・「日本語吹き替え版」の魅力が今後のインド映画を牽引する。
・インド映画で輝く鈴木達央

ガッツリ批評

『吹き替えで観るべき映画』というものがこの世には存在する。基本的には役者の演じている生の声にこそその映画で表現されるべき全てが詰まっているわけで、『吹き替えなんて邪道!』と豪語していた時期もあった。

でも豪語する裏で、やっぱり見やすいし、面白いし、字幕追わなくて済むし楽ちんだし、気付いたら声マネしたくなるくらい魅力あるし、だからコッソリ観てた。今は胸を張って言える。


McFly
吹き替え大好き!

そして再度申し上げるが、『吹き替えで観るべき映画』というものがこの世には存在する。

吹き替え版の翻訳×演出×声優の総合力をもってしてスクリーンの役者の温度感に匹敵する、あるいはその温度感に完全にマッチした表現の高みに到達している吹き替え版が存在しているという意味だ。

ある時代、あるタイミングで日本語吹き替え版はその領域に到達する事が出来た。そしてある時、声優たちは完全にその役者の声の存在価値の座を奪ってしまったのである。

石丸博也の声が僕たちのジャッキーチェンの声であり、

羽佐間道夫の声が僕たちのロッキーの声であり、

野沢那智の声が僕たちのジョンマクレーンなのである。

もはや俳優が本来の声で演じている字幕版の方に違和感を覚えてしまうほどだ。

今回バーフバリ監督の初期作【マガディーラ 】を吹き替え版で鑑賞して、90年代幼少期の僕がどっぷりハマった吹き替え版の魅力が再燃してしまった。

結論から記述しよう。インド映画は吹き替え版がベスト。

そしてもはやインド映画のイケメン主演俳優の吹き替え版声優は全員『鈴木達央』の1択で推し進めてみてはどうか。

いや、僕たちのイケメンインド人俳優の声の座を『鈴木達央』に与えてみてはいかがかと提唱したい。

映画自体も本作品監督の後作『バーフバリ』に匹敵する派手さ・馬鹿さ・力強さが三位一体となった構成力でありながら、映画的な見せ場をしっかりと作り上げ非現実的なドラマチックな世界観をエンタテイメントとして見事に作り上げている文句なしの一級作品。

ただインド映画の特徴としてセリフ量の多さと構成の長さ、展開の速さ、要するに重要なものから無駄なものまで情報量が多過ぎ、字幕版では主題を捉えにくいという問題点がある。

話題作『きっとうまくいく』も字幕版ではその文字列を読み解く視線の往復に集中力を奪われ、きっとうまくいくまで幾度となく眠くなるという試練が与えられていた。

話題性として一定の観覧者数の獲得はその時々で話題になるものの、一貫してブレイクし続ける要因がまだインド映画には無いように思える。

その唯一の解決策が『プロ声優による日本語吹き替え版』だと【マガディーラ】を吹き替えで鑑賞して確信した。

本作では、愛する者を守れずに共に命を落とした勇者としての前世とチャラさ際立つが運命の人と出会い前世の記憶を取り戻す現世での2部構成バトルもの。インド版ロミオとジュリエットと言っても過言でないほどのロマンスも溢れ、言葉の通り「ありえない」ドラマが次々と展開されていく。

「ありえそう」なドラマを追い求める日本的なドラマの構成とは真逆に、ここまで『ありえない」展開(例えば邪魔者を投げやりで殺したり、運命の女に触れると電流が流れるなど)が山盛りの物語を見続けていると、『これこそが本来のドラマなんじゃないのか』という新たな価値観に気付かされる。

その「ありえなさ」を映画の中で説得力に変換していくのが、役者の役割なのだが本作主演のラーム・チャランが程よくイケメンで男気がありながらお決まりのダンスシーンでもヨガとロックダンスを掛け合わせたような不思議で魅力的なパフォーマンスを見せつけてくれ、カット割りのテンポも相まって長時間の継続的な面白さに繋がっている。

そしてこの「ありえなさ」を得意とするのが吹き替え版声優の役どころ。

中でもストーリーの本筋とは関係のない台詞で絡んでくる自由度の高いキャラクターには、完全に声優側がアドリブで吹き替えたであろう「吹き替え遊び」も自由度高く上手く取り入れられている点は90年代に大ブレイクし続けた「吹き替え版香港映画」さながらの魅力に溢れている。

そして愛情と友情と勇気を欠かさないジャンプヒーローのようなインド映画の主人公の声には誠実であどけなく時に正義感に溢れ力強い今回の鈴木達央のような声色がよくマッチしていたように思える。

今後のインド映画吹き替え版をより盛り上げるには三枚目の声優をいかにラインナップしていくかにかかる。

インド版サモハンキンポーが現れた時、インド映画大ブレイクの1000年の歴史の扉が開かれるのではないだろうか。

こんな人にオススメ

・前世の記憶がめっちゃ残っている人
・来世で守られたい人
・調子に乗った自由度の高い吹き替え版が好きな人

作品詳細

映画「マガディーラ-勇者転生-」公式サイト
Filmarks「マガディーラ-勇者転生-」リンク
2018年8月31日上映(2009年製作)/製作国:インド/上映時間:139分/ジャンル:インディー映画

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